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●参考文献:登録なし ●関連文書:登録なし
下記はクスリ早見帖副読本 医師が教える市販薬の選び方(PHP研究所)から。一部改変。
解熱鎮痛薬とは、熱冷ましの効果と、痛み止めの効果の両方が備わったクスリのことです。つまり、熱冷ましに使う場合でも、痛み止めの効果もあり、痛み止めに使う場合でも、熱冷ましの効果もあることになります。
このWEBサイトでは解熱鎮痛薬を「アセトアミノフェン」と「ピリン系」「エヌセイド」の3つに分けて説明しましたので、各ページをご覧ください。
なお、3つの解熱鎮痛薬のうち、「アセトアミノフェン」と「ピリン系」には抗炎症作用がない、もしくはあってもわずかしかないのですが、「エヌセイド」には抗炎症作用があります。そのため、「アセトアミノフェン」と「ピリン系」を「エヌセイド」とは区別することが一般的なのですが、これらも含めて「エヌセイド」と説明している書籍やWEBサイトもあります。「エヌセイド」をどのような意味で使っているか、読み物ごとに確認する必要がある、ということです。
「熱冷まし」と「痛み止め」の目的別に、使用する際の留意事項を説明します。【熱冷まし】
熱冷ましは、高い体温(例えば、体温計で測ったとき38度以上)を下げるために使われます。
体温の上がる原因はさまざまです。日常生活でよく経験するのは、かぜによる発熱ではないでしょうか。かぜのときは、鼻・のど・気管支などに広く炎症を伴って発熱します。かぜのほか、扁桃炎、肺炎、腸炎など、「〇〇炎」と呼ばれる病気でも発熱します。扁桃、肺、腸などに炎症のある病気です。
症状のはじまった当初は、発熱が症状の中心だったりすると、過去の経験から、かぜかもしれないと感じるものですが、その後に加わる症状の変化で、いつものかぜとは違うことに気づき、医療機関を受診し、扁桃炎や肺炎などが原因であると分かることもあります。
かぜも「○○炎」も、多くはウイルスや細菌の関係する炎症がもとにあり、その場所や程度によって、さまざまな症状が出ます。炎症があっても、場合によっては、体温上昇しない場合もありますので、炎症=体温上昇というわけではありません。
ウイルスや細菌の炎症以外の原因でも体温上昇することがあります。脱水症や、真夏に起こりやすい熱中症、クスリの副作用でも体温上昇することがあります。ここでは、体温上昇の原因にはウイルス・細菌以外にもいろいろあるということを覚えておくとよいと思います。
さて、体温を下げようというときに用いるクスリは解熱鎮痛薬になるわけですが、このクスリの役割は体温を下げることであり、原因そのものをよくしようとするものではありません。つまり、対症療法のクスリとなります。
体温上昇時は、体から蒸発していく水分も増えますし、食欲も落ちることで、食事や飲水の量も不十分になりがちで、脱水になりやすい状況にあります。逆に食事や水分摂取がきちんとでき、つらい症状もなく、ケロッとしている場合は、体温上昇していても解熱鎮痛薬が必須というわけではありません。
解熱鎮痛薬を使うことで、汗がたくさん出て、かえって脱水をきたすこともありますし、時に解熱鎮痛薬の副作用である、吐き気や嘔吐、胃痛などにより、水分や食事がうまくとれなくなり、状況を悪くしてしまうこともあります。熱冷ましを必要とする状況か否か、よく考えていただくことをおすすめします。
熱冷ましを目的とするときは、より胃にやさしいタイプのクスリがよいので、胃にやさしい解熱鎮痛薬である、アセトアミノフェンのことを知っておくとよいでしょう。
アスピリン(=アセチルサリチル酸)、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどのエヌセイドと呼ばれる解熱鎮痛成分は効果は強いのですが、人によっては、胃痛や吐き気、嘔吐の原因となることがありますので、熱冷ましを目的とする場合は、アセトアミノフェンのほうが安全性は高いといえます。
【痛み止め】
のどの痛み(咽頭痛)や頭痛、体の節々の痛み(筋肉痛や関節痛)などは、かぜのときによくみられる痛みの症状です。かぜでなくても、普段から頭痛や腰痛、膝などの関節痛など、つらい痛みに悩んでいる方も多いことと思います。痛みが続くことは苦痛ですし、日常生活に支障をきたすこともありますので、症状とクスリと上手につきあっていきたいものです。
かぜのときの、のどの痛みや頭痛、関節痛は、1日から数日ほどでおさまることが多く、クスリなしで経過をみていくという選択肢もあります。少なくとも痛みが軽くなってきたと感じたら、早めに解熱鎮痛薬を飲むのをやめることも大切です。
解熱鎮痛薬は痛み止めの役割だけでなく、熱冷ましの役割も担いますので、痛みの軽減と同時に、発熱していることに気づきにくくなることもあります。原因がはっきりしない段階での、解熱鎮痛薬の使用には慎重さが必要となります。このことはとても大事です。