市販薬と医療機関の利用に関する一般住民調査の公開スライドは合計23枚です。
本調査は医療機関を受診しない方を含む一般住民の方の意識・状況を知るためのもので、当社にとってはたいへん重要な位置づけのものです。
本ページは、いただいたコメントやご質問などへのお返事などをもとに、随時更新をして参ります。
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[更新日 2016年6月19日]
回答率を算出するため、回収方式を期限設定方式としました。インターネット調査でよく使われている先着順方式ではありません。
一般住民の方々の体調不良時の行動パターンと受療時のコミュニケーションパターンを想定し、質問構成を設定しました。
性別(男女) x 年齢5区分(20歳代、30歳代、40歳代、50歳代、60歳代)の10セルの回収数が近くなるよう、仕様設計しました。なお、本調査では19歳以下、70歳以上の一般住民の方の回答は含まれておりません。
居住地を5区分でみた回収状況です。予算があれば、二次医療圏ごとに地域差の分析をできるよう実施したいものです(二次医療圏は344あり)。
1年という単位でみると、85%の方が受診ありと回答しました。
内科系と外科系をまるめ、歯科との3区分にて集計し、内科系の受診が最も多いという結果でした。
内科、歯科、整形外科の順で受診が多いという結果でした。
複数の診療科受診をした方に注目しました。 全体の半数の方が、1年中に2診療科以上を受診されていました。 複数科受診の最多セルは女性30代で、66%でした。 複数科受診の最少セルは男性30代で、36%でした。
体調不良時の行動パターンです。 67・5%の方が市販薬を利用し、37.1%の方が医療機関を利用するという結果でした。 また、医療機関を利用する方の2人にひとりは、市販薬を服用して医療機関へ行くという結果でした。 「体調不良」の箇所を、「発熱、のどの痛み、咳、鼻水のある時」など具体的なシナリオに置き換えるなどすれば、より詳細な分析につなげることができると思われます。
市販薬を服用するのは男女とも30代が最多で、逆に市販薬を服用しないのは男女とも60代が最多でした。 「市販薬を服用し医療機関に行く」の最多セルは男性40代で、25.6%でした。男性40代は、体調不良時に医療機関に行くのは42.4%で、その60%が市販薬を服用して受診されている、という結果でした。
自分以外が購入した市販薬を利用するのは男性が女性よりも多いという結果でした。 自分以外が購入した市販薬を利用する最多セルは男性50代でした。 自分で購入した市販薬を利用する最多セルは女性50代で、自分以外が購入した市販薬を利用する割合も最少でした。
本質問の回答者は974人(全体の83%)。 利用した市販薬の種類は、感冒薬、目薬、解熱鎮痛薬の順でした。 感冒薬の利用の最多セルは女性60代で、75%の方が利用するという結果でした 解熱鎮痛薬の利用の最多セルは女性20代で、6割の方が利用するという結果でしたが、女性30代もほぼ同程度でした。 感冒薬には解熱鎮痛薬が含まれていますので、市販薬利用者の多くが解熱鎮痛成分を服用していると考えられる結果でした。
本質問の回答者は974人(全体の83%)。 市販薬利用の理由は「手軽に購入できるから」が最多で、「市販薬で治ると思うから」、「以前服用した時効果があったから」が続きました。
本質問の回答者は193人(全体の16.5%)。数少なく、セルごとの増減割合ごとの着色はなしとしました。 「体調が悪い時は、すぐ病院・診療所に行くから」という方が最多でした。 市販薬の「副作用への不安」「値段が高いから」「効き目が弱いから」などの理由は少数でした。 かかりつけの医療機関の有無が関係あると考えられ、今後実施するとした場合、かかりつけの病院・医院や、かかりつけ薬局の有無の質問も加える必要があると思われます。
本質問の回答者は全員。 医療機関を受診する理由は、「医師による診察を受けると安心できるから(安心)」が最多で、「医師の診断のもとに出される薬がもらえるから(薬)」が続きました。 全体では(安心)が(薬)よりも上位で、より女性のほうが、より高齢のほうが、(安心)と回答する方が多いという結果でした。 医療機関を受診する理由には性差・世代間差が大きく、男性20代と女性60代では大差がありました。
本質問の回答者は996人(全体の85.3%)。 市販薬の服用状況を伝えることについて、10人に1-2人ほどは必要と思っていないという結果でした。 「非常にそう思う」+「ややそう思う」の最少セルは男性60代でした。
「伝えることは必要だと思う」の内容は、医療機関への期待そのものと解釈できます。 「伝えることは不要だと思う」の内容は、よりよい病歴聴取を行うために知っておきたい内容です。
本質問の回答者は608人(全体の52.1%)。 「初診時に問診票で聞かれることが多い」のほうが、「医師に直接問診で聞かれることが多い」よりも多いという結果でした。 問診票の役割が重要であることがわかります。 なお、「聞かれないことが多い」が最多ですが、内科の患者の場合、高血圧や脂質異常症、糖尿病など、自覚症状のない再診患者の割合も多く、再診のたびに市販薬の服用状況を必ずしも聞かれるわけわけではない、ということが背景にあると考えられます。 初診と再診、自覚症状の有無など、具体的な設定別に質問し、区別して結果解釈できる質問構成にする必要があるかもしれません。
本質問の回答者は669人(全体の57.3%)。 「服用した市販薬の銘柄を覚えていく」が最多でした。 市販薬の服用状況を詳細に示すことのできる、「服用した市販薬の現物や外箱を持っていく」、「服用した市販薬の添付文書を持っていく」などの方は少数でした。
本質問の回答者は484人(全体の41.5%)。医療機関から市販薬の服用を聞かれないことが多いと回答した方が対象です。 全体のおよそ半数の方が、「聞かれなければ伝えない」という結果で、より男性のほうで「聞かれなければ伝えない」という傾向がありました。
本スライドで最後です。 本質問の回答者は73人(全体の6.3%)。この1年で医療機関を受診し、市販薬について聞かれないことが多いと回答し、実際に医師に伝えなかった、という方を対象にした質問です。 「医師に聞かれないから」が最多でした。 ここまでお付き合いいただきまして、有難うございました。 【余談】 2009年のこの調査結果は、診察の際に市販薬のことを医師がきちんと尋ねることの重要性を、改めて認識させてくれます。 2013年夏、クスリ早見帖創刊準備のために聖路加国際病院を訪れました。そこで日野原重明先生の書を拝見する機会があり、その中のひとつに「医師は聞き上手に 患者は話し上手になろう」という揮毫がありました。 その揮毫のメッセージと、なんとも味わいのある魅力ある書体に惚れ込み、クスリ早見帖にこの揮毫を是非とも掲載したいと思い立ちました。 そして幸運にも日野原重明先生にご面談の機会をいただくことができました。そこで、クスリ早見帖の企画を説明し、その揮毫の掲載をお願いしましたところ、新たに書いてくださると仰っていただき、2013年10月22日にクスリ早見帖への揮毫を頂戴いたしました。 当社のクスリ早見帖の表紙には、「クスリ早見帖にとっての大切なこと」を伝えるアートとして、日野原重明先生の揮毫を毎号、掲載させていただいております。 そのきっかけとなったのが、この調査となります。